別ページで2020(令和2)年度の科学研究費補助金(科研費)の採択ランキングを取り上げましたが、データは再掲のうえ、上位20機関に絞り、それぞれの機関の採択件数や採択金額が、全採択件数(82,768件)・全採択金額(220,369,865千円)に占める割合を表にしました。
件数 順位 | 機関名 | 採択件数 | 全体に占める割合 (件数) | 交付額(千円) | 全体に占める割合 (交付額) |
1 | 東京大学 | 4,202 | 5.1% | 22,549,534 | 10.2% |
2 | 京都大学 | 3,022 | 3.7% | 13,931,905 | 6.3% |
3 | 大阪大学 | 2,665 | 3.2% | 10,463,081 | 4.7% |
4 | 東北大学 | 2,525 | 3.1% | 9,747,075 | 4.4% |
5 | 九州大学 | 1,943 | 2.3% | 7,058,611 | 3.2% |
6 | 名古屋大学 | 1,819 | 2.2% | 8,029,554 | 3.6% |
7 | 北海道大学 | 1,719 | 2.1% | 6,099,686 | 2.8% |
8 | 筑波大学 | 1,357 | 1.6% | 4,165,330 | 1.9% |
9 | 広島大学 | 1,220 | 1.5% | 2,840,071 | 1.3% |
10 | 慶應義塾大学 | 1,187 | 1.4% | 3,660,410 | 1.7% |
11 | 神戸大学 | 1,163 | 1.4% | 3,226,210 | 1.5% |
12 | 早稲田大学 | 1,131 | 1.4% | 2,982,850 | 1.4% |
13 | 岡山大学 | 1,001 | 1.2% | 2,385,305 | 1.1% |
14 | 金沢大学 | 962 | 1.2% | 2,157,610 | 1.0% |
15 | 理化学研究所 | 925 | 1.1% | 4,849,390 | 2.2% |
16 | 千葉大学 | 911 | 1.1% | 2,422,940 | 1.1% |
17 | 東京工業大学 | 889 | 1.1% | 4,459,416 | 2.0% |
18 | 新潟大学 | 794 | 1.0% | 1,747,850 | 0.8% |
19 | 東京医科歯科大学 | 730 | 0.9% | 1,815,060 | 0.8% |
20 | 産業技術総合研究所 | 705 | 0.9% | 2,121,860 | 1.0% |
普通に考えると、どの機関も採択件数と採択金額が全体に占める割合はほぼ同じとなるはずです。実際、ほとんどの機関についてはそうなのですが、上位機関に関して言えば、異なる様相を示します。1位の東京大学について、その採択件数は全体に占める割合は5%ですが、採択金額になるとそれが10%となり、著しく乖離しています。
科研費は、その中身(研究種目)がいろいろあり、例えば、5年で5億円程度交付される特別推進研究から、3年で500万円程度が交付されるもっともベーシックな基盤研究(C)まで、多岐に渡ります。交付額が大きい研究種目には、いわゆる著名・有力な研究者が採択され、そのような研究者は旧帝大、特に東大に所属していることから、このような乖離が起こります。
この科研費の数値に限った話ですが(とはいえ、あらゆる点で言える気もしますが)、旧帝大というものの、実態は東大が頭一つ完全抜けていて、京大がそれに続き、3番手グループが阪大・東北大、下位グループが北大・名大・九大という構図です(国立大学法人の運営費交付金も同じ傾向で、別の機会に記事書きたいと思います)。
表を見ると、旧帝大ほか一部の機関を除くと、ほとんどの機関間の差は誤差の範囲といえ、これは結局、日本の(基礎)研究の裾野が偏っているという証左とも思えます。あくまでデータから読み取れるだけですが、この一極集中的な構図は日本の縮図と言えそうです。