大学ランキング ー 科学研究費補助金 採択状況(2020年)③-採択数上位20機関の直接経費と間接経費

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別ページで2020(令和2)年度の科学研究費補助金(科研費)の採択ランキングを取り上げましたが、データは再掲のうえ、金額の詳細について紹介したいと思います。

令和2年度の科研費は、総額220,369,865千円が各機関・研究者に交付されましたが、この内訳は「直接経費」と「間接経費」に分けられます。
「直接経費」とは、その字のごとく、研究の遂行のために「直接」使用するための経費です(試薬を買ったり、図書を買ったり、旅費を支払ったり)。
一方、間接経費は「研究の実施に伴う研究機関の管理等に必要な経費を、直接経費に対する一定比率で手当することにより、競争的資金をより効果的・効率的に活用する。また、間接経費を、競争的資金を獲得した研究者の研究開発環境の改善や研究機関全体の機能の向上に活用することにより、研究機関間の競争を促し、研究の質を高める。」と定義されています(「競争的資金の間接経費の執行に係る共通指針」より抜粋)。
少し分かりにくいですが、研究の遂行には、実験装置を動かすための電力にかかる経費(電気料)や研究費を管理するためのコスト(人件費やシステム導入・維持費)など、研究には直接関係しない付帯的な経費が多く発生します。そのような「間接」的にかかる費用を補うために、直接経費とは別に、研究者の所属する機関に配分されるのが間接経費です。

間接経費の額は、基本的には直接経費の30%です。ところで、およそ大学における教員の活動は、多かれ少なかれ研究に関連します。つまり、大学にとって間接経費の使途は、ほとんどフリーに近いものであり、これが、大学が(競争的)研究費の獲得に必死になる理由です。少子化の中、学生の定員増や学費の値上げなどはハードルが高いため、収入源の一つとして、研究費の獲得に力を入れているわけです。

科研費にも間接経費が直接経費の30%措置されます。そこで、今回は下表のとおり、交付額に直接経費と間接経費の内訳を加えてみました。なお、直接経費:間接経費=1:0.3として、交付額から機械的算出しているため、正確な額ではないことはご了承ください(ただ、実際の額とそれほど大きく外れてはいないと思います)。

件数
順位
機関名採択件数交付額(千円)うち直接
経費(千円)
うち間接
経費(千円)
1東京大学4,20222,549,534 17,345,795  5,203,739 
2京都大学3,02213,931,905 10,716,850  3,215,055 
3大阪大学2,66510,463,081 8,048,524  2,414,557 
4東北大学2,5259,747,075 7,497,750  2,249,325 
5九州大学1,9437,058,611 5,429,701  1,628,910 
6名古屋大学1,8198,029,554 6,176,580  1,852,974 
7北海道大学1,7196,099,686 4,692,066  1,407,620 
8筑波大学1,3574,165,330 3,204,100  961,230 
9広島大学1,2202,840,071 2,184,670  655,401 
10慶應義塾大学1,1873,660,410 2,815,700  844,710 
11神戸大学1,1633,226,210 2,481,700  744,510 
12早稲田大学1,1312,982,850 2,294,500  688,350 
13岡山大学1,0012,385,305 1,834,850  550,455 
14金沢大学9622,157,610 1,659,700  497,910 
15理化学研究所9254,849,390 3,730,300  1,119,090 
16千葉大学9112,422,940 1,863,800  559,140 
17東京工業大学8894,459,416 3,430,320  1,029,096 
18新潟大学7941,747,850 1,344,500  403,350 
19東京医科歯科大学7301,815,060 1,396,200  418,860 
20産業技術総合研究所7052,121,860 1,632,200  489,660 

東京大学に配分された額は、実に52億円に上ります。これは、令和元年度に旭川医科大学や東京海洋大学などに交付された運営費交付金の額とほぼ同じです。東大は、科研費の間接経費だけで、この巨額の資金を「稼いで」います。
競争的研究費は科研費だけではありません。科研費は最もすそ野の広い競争的資金で、その他の競争的資金となると、有力なごく一部の大学に所属する研究者がそれを獲得する割合が圧倒的に大きくなります。そして、それらにも間接経費が配分されることから、投入される資金がより一層偏重しています。
東京大学は、2020年に200億円の大学債を発行、2021年に都心の一等地で大手不動産会社と資産活用に乗り出したりなど、一強傾向が年々強くなっています。

京都大学の32億円も巨額です。国立の教育系単科大学の運営費交付金とほぼ同額です。
13位以下くらいになってくると、間接経費配分額に有意な差は見られなくなります(理研や東工大は除きますが)。

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